6月5日日曜日。
「音に浴する」音楽会。
無事、開催することができました。
雨の予想がぐんぐんと前倒しになり、前夜の雨降りから明けて、曇り空、そして青空へ。
些か蒸しっとした空気が落ち着きをみせる頃、お客様が三々五々入ってこられました。
たらいに大きな氷を入れ、冷やした麦茶を到着したお客様にふるまいます。
夫が、大好きなビールをキンキンに冷やしておいてくれ、お勧めすると、
思いのほか、多くの方がいただこうかな、と。
外は暑くても、なんとなし涼しい古民家の中で、
皆さん、ほっと一息のようでした。
日没の1時間半程前から演奏がはじまりました。
時間的には夕方とはいえ、まだ太陽も高めで景色は明るい。
近隣に音が漏れすぎないようにと北側の木戸や障子を閉めた屋内は、けっこう暗く感じられたでしょう。庭の方を見るとまるでスクリーンを見ているような雰囲気に。
さて、
御しがたくも、しかし、それが存在しなかったとすれば生きる甲斐などないであろう「心」というものを題材にした「津々」sin sin からはじまりました。そして、父母への想い、その想いから自然に立ち上がってくる力強さを言い放つ「風渡る」からあと、力強い曲が続きます。
今回は力強い曲が多く選ばれましたが、奮い立たせ鼓舞するような力強さというより、腹の奥が据わるような力強さを感じておりました。力を思いっきりに出し切ることだけが力強さの表現ではないのかもしれません。
寝転んで景色を眺めたり、ビールやお茶をちびっとやったり、うとうとしたり、
自分だけの心模様に浸った方もいらしたでしょうか・・・
お客様それぞれ思い思いに過ごされている様子。ほんとうに幸せな気持ちになります。
日没前後は、ぐっぐっと暗さが増していきました。
それにつれ、
力強さ際立つ曲から、静けさが凝縮する曲へと変化していきます。
ウサギ追いし‥の「ふるさと」がつぶやきのように自分の口から漏れでてきました。続いて、合っているのか合っていないのかぎりぎりの和音の響きをシンプルで美しいメロディにぶつけた唱歌の名曲「この道」。そして、kiRieがよく終曲として演奏している「星々の内外(うちそと)」へ。今日の「星々〜」は、終曲へと誘う役割を果たしてくれました。まだ星が見えるほどではない空の明るさではありましたが、この群青色の空のさらに向こうに広がるであろう星空に想いを馳せ、出逢いというものの妙に噛み締めながら、締めくくりへ。
初めて披露させていただく「うぶごえ」が最後の曲になりました。
去年暮れに若くして亡くなった友人へ捧げる歌で6月5日の「音浴」を締めくくらせていただきました。
日没30分程あとの終幕。
あんなに光に溢れていた庭が、すっぽりと闇に包まれていました。
闇は闇でも、この闇にはあたたかみを感じさせるものがありました。
半年に一度づつ開催させていただいてきた「音浴」。
回を重ねるごとに、新しい発見と体験があります。
周りに幾らか気を配りながらも、「自分の過ごしたいように過ごす」ということを中心に置く体験は、私自身にとても大切で、重ねていきたい体験です。
私自身がそれをしたくて、「音浴」をはじめたのですが、お仕事や試験のあとに駆けつけてくださった方もおられ、お話を伺っていると、自分本位でやりはじめたことがいつのまにか、皆さんと某かの精神的体験を共有させていただけていることがはっきりと感じられました。
何が正しいのか、どうであれば正解だよと言ってもらえるのか、そんなことを考えに考えてきた時間は長かったけれど、私にとっては、我がままであることは一概にダメなこととはいえず、我がままで終わらない可能性がある。
この2年、「音浴」を含め、その他の時間のなかでも、そのことを見せられつづけている気がします。